打ち込み音源を一気にそこに”ある”サウンドに!
ミキシングにおいて重要な要素の一つが、サウンドの距離感をコントロールすることです。前に出したい音と奥に引っ込めたい音をはっきり区別することで、文字通り楽曲に奥行きが生まれます。
しかし、特に打ち込み音源を扱うことの多いDTMにおいてそれは難しく、複雑な工程を必要とすることも多いです。
Universal Audio Sound City Studiosは、歴史上最も有名なレコーディング・スタジオを丸ごとPC上に再現したプラグインです。これを使用することで、まるでルームマイクを立てて収録したかのようなサウンドを演出することができ、簡単にイキイキとしたサウンドに生まれ変わらせることが可能です。
この記事では特に初心者の方に向けて、Sound City Studiosの効果的な使い方を紹介していきます。
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Sound City Studiosはこんな方におすすめ!
- 一流スタジオでのレコーディングを簡単に体験したい方
- ミキシングにおける距離感のコントロールを簡単にしたい方
- ルームリバーブ等を利用した空間感の演出を行いたい方
Sound City Studiosの使用例
Sound City Studiosの使い方を簡単に解説していきます!
基本の使い方
Sound City Studiosは、空間の響きそのものをDAW上で再現するプラグインです。
ドライなサウンドに空間の反響などを追加することができるので、いわゆるルームリバーブとして利用することも可能です。
ただし、どちらかと言うとリマイク(音源の収録後に別の環境で収録をやり直すような効果)として利用するのがおすすめです。

①Sourceから、使用する音源の種類に合わせたカテゴリを選択します。
カテゴリごとにサウンドの種類(②)が用意されているので、好みのものを選ぶことができます。
③Modeからは使用用途を切り替えます。リマイクとして音色自体を作り変えたい場合はRE-MICを、リバーブとして使用したい場合はREVERBを選択します。
④Micではそれぞれのマイクの種類・音量バランスを調整します。
左下の四角でオンオフを切り替えることができます。

①Mixerボタンをクリックすると、Mixer Viewが開きます。
②にあるように左から順に各マイクのミキサーが割り当てられています。
③Distanceでは音源からマイクまでの距離を調整します。
④Muteでは各マイクのオンオフを切り替えます。(メイン画面のオンオフと連動)
⑤Faderで各マイクの音量バランスを調整します。
ModeがReverbモードの時、⑥Predelayと⑦Mixを調整できます。
⑥Predelayではリバーブが鳴り始めるまでの時間、⑦Mixでは原音とリバーブ音のバランスを調整します。
Mixつまみ下部のSoloボタンがオンの間、常にMixが100%に設定されます。
(※RE-MICモードの時はPredelayが0、Mixが100%で固定され変更できません。)

①Master Effectsボタンをクリックすると、Master Effects Viewが開きます。
②のトグルボタンをクリックすると、RoomおよびEqualizer、Dynamics、Chamberのオンオフを切替ます。
③Equalizerでは、3バンドのEQをコントロールできます。
④Dynamicsでは、モード切替によりクラシックなコンプレッサー、ゲート、マルチバンドエキサイター、1176風コンプなどを切り替えて適用できます。
⑤Chamberでは、サウンドにチャンバーリバーブを加えます。
各セクション左下のINボタンではエフェクトのオンオフを切替可能で、②のボタンと連動しています。
⑥Bypassでは各マイクの音声全てをバイパスします。②のRoomボタンと連動しています。
詳細な使い方

- ①プリセットブラウザ : 購入したその日からすぐに使えるファクトリープリセットを選択したり、ユーザーが作成したプリセットの登録・呼出が可能。
- ②Source : ドラム、ギター、ボーカルなど素材に合わせた録音環境を選択。
- ③Mode : ルームとマイクの質感を作り変えるRE-MICモードと、リバーブとして反響を利用するREVERBモードを切替。
- ④Mic : クリックして上下にドラッグすることで音源とマイクの距離を調整。Close、Room1、Room2の3種類を個別に調整可能。
- ⑤Mic Select : ポジションごとに特性の異なるマイクを3種類から選択。
- ⑥Mic Level : 各マイクの音量を個別に調整。
- ⑦Mic Enable : 各マイクのオンオフを切替。
- ⑧Polar Patterns : マイクの極性を切替。(切替不可なものもあり)

- ①Master Level : 最終的な出力音量を調整。(⑯Master Gainと連動)
- ②Mixer : Mixer Viewを開く。
- ③Distance : 音源とマイクの距離を調整。(Studio Viewの④Micと連動)
- ④Distance Align : 音源とマイクとの距離によるキャラクターを維持したまま、各マイクの距離の差による遅延を補正。
- ⑤Cut Filter : 高域または低域をカットするフィルターを適用。各マイクとSourceの選択によりカットする帯域は変動。
- ⑥Polarity : 極性を反転。
- ⑦Balance(Pan) : 左右のパンを調整。
- ⑧Mute : ミュートのオンオフを切替。(Studio Viewの⑦Mic Enableと連動)
- ⑨Gain : マイクごとの音量を調整。(Studio Viewの⑥Mic Levelと連動)
- ⑩Predelay : 反響音が鳴り始めるまでの時間を調整。
- ⑪Mix : 原音と反響音のバランスを調整。
- ⑫Solo : ⑪Mixの値によらず常に反響音を100%で再生。
※⑩~⑫はREVERBモードのみ有効。RE-MICモードの間は常にPredelayが0、Mix100%。 - ⑬Mono : 最終的なサウンドのモノラル出力オンオフを切替。
- ⑭L/R Swap : 出力音の左右を入れ替え。
- ⑮Bypass : 各マイクサウンドのバイパスを切替。
- ⑯Master Gain : 最終的な出力音量を調整。
- ①Master Effects : Master Effects Viewを開く
- ②Toggle Effect : Room、EQ、Dynamics、Chamberのオンオフを切替。(それぞれIN・Bypassと連動)
【EQセクション】 - ③EQ Gain : 3バンドEQのゲインを調整。
- ④EQ Frequency : 3バンドEQを適用する周波数を調整。
- ⑤EQ IN : EQのオンオフを切替。
【Dynamicsセクション】 - ⑥Amount : Dynamicsエフェクトの適用量を調整。
- ⑦Mix : エフェクト音と原音のバランスを調整。
- ⑧Type : Dynamicsで適用するエフェクトの種類を選択。
・Encode : エキサイターに似た効果のマルチバンドダイナミクス。
・Air : Encodeモードの高域のみを適用した空気感を加えるエフェクト。
・Crush : Encodeモードをシングルバンドに変更したコンプレッサー。
・Gated : Crushモードの手前にゲートを加え、ゲートルームリバーブ効果を演出。
・Bus : 自然な掛かり方をするバスコンプ。
・1176LN : レシオが20:1に設定された1176系コンプ。 - ⑨SC Link : 左右チャンネルのコンプ効果の独立オンオフを切替。
- ⑩SC Filter : 入力信号の低域のフィルターの有無を切替。大きすぎる低域に反応しづらくする。
- ⑪Dynamics IN : Dynamicsのオンオフを切替。
【Chamberセクション】 - ⑫Amount : Chamberリバーブの量を調整。
- ⑬Mics : リバーブ音を収録するマイクの切替。
- ⑭Decay : リバーブの長さを5段階から切替。
- ⑮Predelay : Chamberのプリディレイの長さを調整。
- ⑯Width : Chamberのステレオ幅を調整。
- ⑰Chamber IN : Chamberのオンオフを切替。
具体的な使用例
例1 : ボーカル (プリセット”Bright Female Vocal – Live”を調整)
↑加工前 加工後↓
例2 : ドラム (プリセット”Clean Room”を調整)
↑加工前 加工後↓
例3 : ギター (プリセット”Plucked Acoustic Guitar – Gobos”を調整)
↑加工前 加工後↓
自然な空間感が加わることで、打ち込み音に実在性が生まれました。。
まとめ
Universal Audio Sound City Studiosは、DTMのミキシングに革命を起こすプラグインです。
空間の演出といえばリバーブを使用するのが一般的でしたが、Sound City Studiosはそこからさらに一歩踏み込んだ距離感・部屋の演出が可能になります。
皆さんもぜひSound City Studiosを手に入れて、音の存在感をコントロールするミキシングを味わってみてください。