ボーカルMIXの新たな最適解!Nectar 4の使い方を解説!

iZotope
スポンサーリンク

ボーカルに華やかさとバリエーションを!

歌モノ楽曲を制作する際に必ず必要になるのがボーカルMIX
ドラムやピアノなど他の楽器と比べても、特にボーカルMIXは考えることが多く難しいと言われます。

iZotope Nectar 4があれば、煩雑なボーカルMIXに必要な処理をこれ一つでまかなうことができる上に、アシスタント機能を使って最適な処理を提案してもらうこともできます。

この記事では特に初心者の方に向けて、Nectar 4の効果的な使い方を紹介していきます。

iZotope Nectar 4の購入先

iZotope製品は単体購入ではなく、複数のプラグインがセットになったバンドルの購入がおすすめです!お得な購入方法はこちらの記事を参考にしてみてください!

iZotope Nectar 4はこんな方におすすめ!

こんな方にオススメ!
  • ボーカルMIXで何をすればいいのか分からない方
  • 煩雑な音作り作業を簡単に済ませたい方
  • ボーカルに合わせたミキシングを知りたい方

Nectar 4の使用例

ここからはNectar 4の使い方を簡単に解説していきます!

アシスタント機能による自動ミキシング

Nectar 4に搭載されたアシスタント機能により、そのトラックを解析してオススメのミキシングチェーンを提案してもらうことができます。

Nectar 4内で複数のモジュール(EQやコンプレッサーなど、一つ一つの役割をこなすエフェクトのことを指します)を組み合わせることで、その楽曲に沿ったエフェクトが提示されます。

解析したいボーカルトラックにNectar 4を立ち上げたら、AssistantボタンをクリックすることでVocal Assistantビューが起動します。

その状態でボーカルトラックを再生するだけでNectar 4の解析が始まり、AIが自動的に楽曲に最適なボーカルMIXを提案してくれます。
最低20秒以上再生する必要があるので、ボーカル全体の長さが20秒に満たない場合はループ区間を設定してボーカルが連続して流れるよう設定してください。

今回は以下の楽曲にNectar 4を適用してみます。

Nectar 4適用前

↑Before      After↓

Nectar 4適用後

いかがでしょうか。たった1クリック+再生のみで、明瞭感が増すと共に楽曲に馴染むボーカルが提案されました。

特に初心者の方であれば、これだけの工程でボーカルの音作りがほぼ完了してしまうチートツールになっています。

提案されたミキシングのカスタマイズ

Nectar 4によって提案されたミキシングの結果は、もちろんそのまま使うだけでなく簡単に好みに合わせてカスタマイズしたり、より詳細に調整を加えたりと自分好みの音にすることができます!

まさに、ボーカルMIXはこれ一つあれば完結してしまう万能ツールと言えるでしょう。

Vocal Assistantの分析結果と連動し、音色の方向性をざっくりと決めることができるパラメーター群をIntent Controlsと呼びます。
Intent ControlsにはShape, Intensity, FX, Voices, Widthの5つのパラメーターが含まれます。

各部名称
  • ①Shape:音色に味付けを行うためのEQモジュールがかかる量を0~200%で調節。左上のパワーボタンでEQ自体をオンオフ。
  • ②Intensity:CompressorモジュールのThreshold、Attack、Releaseなど各パラメーターを連動して調節。右上のパワーボタンでCompressor自体をオンオフ。
  • ③FX:上部3つのアイコンがそれぞれReverb、Delay、Dimensionモジュールのオンオフに対応しており、下部のX-Yパッドで各エフェクトの深さ(上方向)と掛かり具合(右方向)を連動して調節。
    左下のパワーボタンにより各モジュール自体を一括でオンオフ。
  • ④Voices:ダブリングによって声に厚みを出したりハモリを生成するVoicesモジュールと、AIボイスチェンジャーによって別人の歌声に変換するBackerモジュールを切替えてそれらの掛かり具合を調節。右下のパワーボタンにより各モジュール自体をオンオフ。
  • ⑤Width:声のステレオ感を調節するWidthパラメータを設定。モノラルボーカルであっても声に左右の広がりを出すことが可能。
  • ⑥Target Library:歌/ラップ/話声や、暗め/明るめなど、Vocal Assistantのリファレンスとなるパラメーターを選んで設定可能。
  • ⑦Key and Range:楽曲のキーとボーカルの音域をVoicesパラメータで利用するために設定可能。未設定の場合VoicesパラメータではOctavesとUnisonのみが利用可能だが、Keyを設定することで様々なハーモニーのバリエーションを選択可能。
  • ⑧Detailed View:EQやコンプレッサーなど各モジュールを個別に設定する画面に移動。
  • ⑨Bypass:Nectar 4の処理全体をバイパスして原音を確認。
  • ⑩Relearn:Vocal Assistantを再度実行。

Detailed Viewの詳細設定

Detailed Viewボタンをクリックすると、詳細なモジュールを個別に設定する画面に移動できます。

Nectar 4では、EQやコンプレッサーなど、10種類のモジュールを組み合わせて自由自在なミキシングチェーンを組むことが可能です。

Vocal Assistantを実行することによって設定されたモジュールチェーンを個別に調整したり、未使用のモジュールを新たに立ち上げたりすることもできます。

つまりAIに頼るのみではなく、ご自身の理想のボーカルMIXを行うことが可能です。初心者からプロまで使用しているボーカル向けプラグインというのも納得できますよね。

AI処理だけではなく、自分でも少し変更したいと思った場合は以下に説明している詳細をご覧頂き、各モジュールがどんな役割をするか参考にしてみてください。

各部名称
  • ①Presets:プリセットマネージャを開きプリセットを選択可能。購入したその日からすぐに使える多数のファクトリープリセットが、目的別・ジャンル別に多数搭載。
  • ②Auto-Level:ボーカル音量の大小に応じて自動でレベルを調整し、コンプレッサーよりも自然に音量を平均化するモジュール。Learnボタンで目標とする音量を自動で検出。
  • ③Pitch(Key):自動ピッチ補正、またVoicesモジュールを使うために、プルダウンもしくは鍵盤をクリックして楽曲のキーを設定。Detectボタンでキーを自動検出し、候補のキーを表示する。
    右向き三角形をクリックするとピッチ補正に関する詳細設定画面を開く。
  • ④Module Chain:モジュールの種類と順序を変更。
  • ⑤Module Interface:④で選択したモジュールごとの詳細設定とメーターを表示。
  • ⑥Input/Output:入力・出力音量のメーター、ゲイン、リミッターを調節。
    その他Nectar 4自体のバイパス、エフェクトによる音量変化を補正するGain Match、左右のパン、ステレオ幅を調整可能。
各モジュール説明
  • Compressor:コンプレッサー。ボーカルの音量が大きい部分を圧縮することで聴きやすさを増したり音色に色付けを行う。4種類のキャラクターを選択可能。Module Chain内で2つまで使用可能。
  • De-Esser:ディエッサー。指定した帯域より上の周波数に掛かるコンプレッサーで、耳に刺さる歯擦音(サ行、ツァ行など)を自然に軽減する。
  • EQ:イコライザー。24バンドの周波数設定と16種類のフィルター形状により、自在に不要な成分をカットしたり好みの色付けを行うことが可能。
  • Gate:ゲート。一定より音量が小さい区間をさらに減衰/無音にする。ボーカルの無い箇所で背景ノイズが目立つ場合などに使用。
  • Saturation:サチュレーション。トラックに温かみや強烈な歪みを付加することが可能。7種類のキャラクターと歪みの量を設定することで簡単に倍音を強調。
  • Dimension:コーラス、フランジャー、フェーザーから一つ選択し、ボーカルに揺らぎを与えることができるモジュレーションエフェクト。強く掛けることで飛び道具としての利用や、薄く使うことで曲中での存在感を増すことが可能。
  • Reverb:リバーブ。クラシックなプレートリバーブをモデルにしており、簡単なパラメーターで空間を演出することが可能。
  • Delay:ディレイ。モノラル/ステレオディレイを切替えて利用可能で、サチュレーション・モジュレーションエフェクトによりさらにボーカルに厚みと空間感を加えることが可能。
  • Voices:ボーカルの複製をピッチシフトすることによりハモリを生成。Keyで設定した楽曲のキーに追従させられる他、MIDI信号を送ることで自在にハーモニーを演奏することも可能。
  • Backer:AIを利用してボーカルを全く別人の歌声に変換し、ボイスチェンジャーとしての利用やコーラスを加えることが可能。歌声は購入時に用意された8種類のボーカルから選択するか、手持ちのボーカルファイルを読み込んでオリジナルのボイスチェンジャーを作ることも可能。
他トラックと連携するVocal Unmask

ボーカルMIX、特に歌ってみたのようなミキシング済みのオケにボーカルをMIXする場合、ボーカル自体の加工だけでなくオケにボーカルのスペースを空けるような処理が重要になります。

Nectar 4に搭載されたVocal Unmask機能を利用すると、ボーカルを分析することによって適切かつ自然にオケにスペースを空けることが可能です。

Vocal Unmask機能を利用するためにはボーカルトラックにインサートしたNectar 4の他に、オケトラックに以下のプラグインのうちどれかをインサートする必要があります。

・Relay (Nectarインストール時、同時にインストール可能)
・Nectar
・Neutron

ボーカルトラックにインサートしたNectar 4を開き、Detailed View上部のUnmaskボタンをクリックするとUnmaskの設定画面を開きます。

Select a sourceのプルダウンを開き、オケトラックにインサートしたプラグインを選択します。

今回はRelayをインサートしました。

Nextをクリックして次の画面に遷移し、ボーカルとオケのトラックを同時に再生するだけでUnmask機能が動作します。

数秒間再生するだけで解析は完了し、オケのトラックにインサートしたプラグインにUnmaskの結果が反映されます。

オケのトラックにインサートしたプラグイン側(今回はRelay)では、Unmask機能の調整が可能です。

各部名称
  • ①Unmask EQ Curve Display:Unmask機能によってオケトラックに掛かっているEQカーブを表示。
  • ②Amount:Unmask EQによってカットする音の量を調整。
  • ③Dynamic:Unmask EQのDynamicモードオン/オフを切り替える。Dynamicモードオンの場合、音量が一定を超えた時のみUnmask EQが反応してカットを行うのでより変化の少ない処理が可能。
  • ④Sidechain:Dynamicモードオンかつ、ボーカルトラックをサイドチェインでRelayに送っている時のみ利用可能。Unmask EQの検出元をボーカルトラックに設定するため、よりボーカルの状態に合わせたカットが可能。

今回は以下のようににUnmaskを適用してみます。

Unmask適用前

↑Before      After↓※分かりやすいようAmount100%

Unmask適用後

いかがでしょうか。オケにボーカルの分のスペースが空くことで、音量を上げずともボーカルの存在感が出るようになりました。

おすすめの設定としては、Dynamicモード・Sidechainモードをオンにした状態で、Amountを50~60%前後を基準にカット量を調整すると良いのではないかと思います。

より自然なUnmask処理が可能で、オケのバランスをできるだけ崩さずにボーカルのスペースを用意できます。

各エディションごとの差

Nectar 4には、最低限の機能が搭載された入門版のElements、機能とカスタマイズ性が追加されたStanderd、全ての機能が制限なく利用できるAdvancedの3つのエディションが存在します。

おすすめは断然Advancedです!ここまで説明してきた全ての機能を使うことができる上に、各モジュールを個別プラグインとして各トラックにインサートできるので、Nectar 4内で処理を完結させるだけでなく他プラグインと組み合わせた際にも多大な効果を発揮します。

また、Standerd以上のエディションには付属製品としてMelodyne 5 essentialが付属します。
これはプロの現場でも使われているピッチ補正プラグインの入門向けエディションで、これを使うことでより詳細なボーカルの補正が可能になります。

また、Nectar 4同梱のMelodyne 5 essentialを所持していることで、上位版のMelodyneをアップグレード価格で購入することもできるようになります。

エディションごと利用可能機能の一例(上位エディションは下位エディション機能を全て含む)
  • Elements
    ・Vocal Assistant
    ・Backer, Voicesモジュールの一部機能
  • Standerd
    ・Auto-Level, De-Esser以外の全モジュール(一部機能制限あり)
    ・Melodyne 5 essential同梱
  • Advanced
    ・全モジュール全機能
    ・Auto-Levelをはじめとした補助機能
    ・各モジュールを単体プラグインとして利用可能

充実の公式チュートリアル

ここまで主にVocal Assistantに要点を置いて解説してきましたが、Nectar 4のポテンシャルはこれだけではありません。

Nectar 4のことがもっと気になる方、Nectar 4を最大限使い倒したいという方は、是非iZotope公式YouTubeチャンネルから提供されているチュートリアル動画を参考にすることをおすすめします。
また、旧バージョンであるNectar 3のチュートリアル動画についても、Nectar 4との共通部分については参考にすることができます。

多くの動画が日本語で提供されており、より実践的・ハイレベルなコンテンツが揃っています。

まとめ

iZotope Nectar 4は、複雑なボーカル処理が誰でも簡単にこれ一台で完了できるボーカル向けエフェクターです!

ボーカル曲の制作や歌ってみたをやりたいけども処理が分からない方、ややこしい作業をこれ一つで済ませてしまいたい方など、様々な方におすすめできるプラグインになっています。

皆さんもぜひNectar 4を手に入れて、よりクリーンなボーカルを簡単に取り入れてみてはいかがでしょうか。

こちらの記事はDTM・プラグインに精通したクランとリオンSTAFFが執筆した記事となります。

クランとリオンをフォローする
タイトルとURLをコピーしました