存在感のある真空管サウンド!
プロユースのスタジオに置かれているミキシングコンソール。その1チャンネル分を抜き出したものがチャンネルストリップと呼ばれます。
コンプレッサーやイコライザーなど複数のエフェクトが一つにまとまっており、実機はもちろんプラグイン化されたものも存在します。
DTMネイティブの人にとっては個別にエフェクトを掛ければいいだけと思うかもしれませんが、チャンネルストリップならではの良さ、そしてその音質には唯一無二なものもあります。
Avalon VT-737 Tube Channel Stripは、様々なプロシーンで使用される洗練されたチャンネルストリッププラグインです。
この記事では特に初心者の方に向けて、Avalon VT-737 Tube Channel Stripの効果的な使い方を紹介していきます。
Avalon VT-737 Tube Channel Stripの購入先
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プラグイン1つあたり3,288円!
VT-737 Tube Channel Stripはこんな方におすすめ!
こんな方にオススメ!
- プロのスタジオサウンドを楽曲に取り入れたい方
- 真空管特有の存在感のある音質をボーカルやベースなどに与えたい方
- チャンネルストリップならではの操作感によってMIXのレベルをワンランク上げたい方
VT-737 Tube Channel Stripの使用例
ここからはVT-737 Tube Channel Stripの使い方を簡単に解説していきます!
必要なところだけ使うという考え方
VT-737に限らず世の中には多くのチャンネルストリップが存在しますが、初心者の方が一目見て思うのは「つまみが多くて難しそう」ということがほとんどではないでしょうか。
確かに複数の機能が一つにまとまったものがチャンネルストリップですから、パッと見複雑なのは事実でしょう。
しかしそこで諦めるのは早計です。まずは複数ある機能を全部使おうとせず、必要なところだけ使ってみるのはいかがでしょうか。
特にプラグイン環境であればプリアンプだけ、イコライザーだけという使い方であっても十分にチャンネルストリップの良さを活かすことができますし、アナログモデリング系であれば(ほんの少しではありますが)挿すだけで「その機材の音になる」という効果が期待できる場合もあります。
一度怖がらずに使ってみることをおすすめします。
VT-737は基本的に以下のようなシグナルチェーン(順序)で信号を処理します。
入力
→チューブプリアンプ(ハイパスフィルター内蔵)
→オプト(光学式)コンプレッサー
→バス/トレブルEQ(低/高音域)
→ミッドレンジEQ(中音域)
→出力
なお、後述するパラメーターによって順序を変化させることも可能です。
各部位説明
チャンネルストリップは、各機能ごとに部位が大きく分担されています。
必要な機能を担当する箇所に絞って、使い方を確認するのが良いでしょう。
【左半分】
各部名称(全体)
- ①プリセットブラウザ : 購入したその日からすぐに使えるファクトリープリセットを選択したり、自身で作成したプリセットの保存・呼出が可能。
- ②VT-737spロゴ : クリックでパネルビューをブラック/シルバーに切替。(音に変化は無し)
各部名称(プリアンプ部)
- ③Preamp Gain : プラグインに入力されるゲインを調整。大きいほど真空管特有の歪みが加わり、ドライブサウンドが付加される。
- ④Input Select : Preamp Gainのレンジを変更。
LINE : -28 dB〜+9 dB / MIC : 0 dB〜+45 dB (MICに設定するとゲインが上がる)
- ⑤High Pass Frequency : プリアンプ段階で掛かるハイパスフィルターの周波数を設定。後述のFilterでオンオフを制御。
- ⑥Input Mode : 入力信号にまつわるパラメーターのオンオフを設定。
High Gain : 全体のゲインを向上して、より強く歪んだサウンドを得ることが可能。
④Input SelectがLINEの場合+8dB、MICの場合+18dB。
Phase : オンにすると極性を180°反転。ミキシングで位相の打ち消しが発生しているときなどに有効。
Pad : ④Input SelectがMICの時のみ使用可能。オンにすると入力ゲインが-20dBされる。
Filter :オンにするとプリアンプ部で6dB/octのハイパスフィルターが適用される。フィルターの周波数は⑤High Pass Frequencyで設定可能。
各部名称(コンプレッサー部)
- ⑦Threshold : コンプレッサーを適用する信号レベルを設定。設定可能範囲は-30~+20dB。
- ⑧Compression : コンプレッサーを適用するレシオ(圧縮率)を設定。設定可能範囲は1:1(圧縮なし)~20:1
- ⑨EQ>Comp : オンの時、シグナルチェーンにおいてコンプレッサー部とEQ部の順序を入れ替える。(EQの後にコンプレッサーが適用)
- ⑩Meter : オンの時、メーターにはコンプレッサーでのゲインリダクション(圧縮量)が表示。オフの時、現在の出力レベルが表示。
- ⑪Comp IN : オンの時、コンプレッサーの動作がオン。オフの時、コンプレッサーが適用されない。
- ⑫SC Link : ステレオトラックで使用時、オンにすると左右チャンネルの圧縮量が同じ量になる。オフの時、左右チャンネルが独立して圧縮される。
- ⑬Attack : コンプレッサーのアタックタイム(圧縮が始まるまでの時間)を設定。設定可能範囲は約2~200ms。
- ⑭Comp X4 : オンの時、アタックタイムが4倍速く(1/4の時間)なる。設定可能範囲は約0.5~50ms。
- ⑮Release : コンプレッサーのリリースタイム(圧縮されなくなるまでの時間)を設定。設定可能範囲は約100ms~5s。
【右半分】
各部名称(EQ部)
- ①バス : 低域を調整するシェルビングEQ。最大±24dBの増幅/減衰が可能。
- ②ローミッド : 中低域を調整するベルEQ。最大±16dBの増幅/減衰が可能。
- ③ハイミッド : 中高域を調整するベルEQ。最大±16dBの増幅/減衰が可能。
- ④トレブル : 高域を調整するシェルビングEQ。最大±20dBの増幅/減衰が可能。
- バス/トレブルEQ
・ゲイン(上部つまみ) : 指定した帯域の増幅/減衰量を調整。
・フリーケンシー(下部つまみ) : 調整する帯域を4段階で指定。
- ミッドレンジEQ
・ゲイン(上部つまみ) : 指定した帯域の増幅/減衰量を調整。
・HI-Qボタン : 消灯時、Q幅は0.2で広い帯域に影響。点灯時、Q幅は0.85でよりピンポイントな帯域を調整。
・×10ボタン : 点灯時、フリーケンシーつまみで指定した10倍の周波数を指定。
・フリーケンシー(下部つまみ) : 調整する帯域を表記の範囲内で無段階に調整。
チャンネルストリップのEQは、精密なイコライジングよりもざっくりした音作りに向いています。
目盛りとして表記されている周波数・ゲインについては参考程度にとどめ、耳で聴いた結果を優先しつつイコライジングするのがおすすめです。
各部名称(出力部)
- ⑤アウトプット : 最終的な出力ゲインを調整。-40〜+10dBの範囲で調整可能。
- ⑥サイドチェインEQ : 点灯時ローミッド/ハイミッドEQが無効化され、コンプレッサーをサイドチェインで扱うためのEQとして動作。
- ⑦イコライザー・イン : 消灯時、EQ部全体がバイパス。(バイパス時もサイドチェインEQとしての利用は可能)
- ⑧パワー : オフの時、プラグインでの処理をバイパスして原音を再生。
使用例
チャンネルストリップというものは積極的に音色を作り変えるものではありませんが、ミキシングにおいて重要な役割を果たすポテンシャルがあります。
使い慣れた方の中には、チャンネルストリップのみでほとんどのミキシングを完結させてしまう方もいるようです。
まずはできるところから取り入れて、チャンネルストリップの扱い方・音色を掴んでみましょう。
【ボーカル】
↑VT-737適用前 VT-737適用後↓(プリセット”Fat Vocal”適用)
【ドラム】
↑VT-737適用前 VT-737適用後↓(プリセット”No Fuss Drum Bus”適用)
【ギター】
↑VT-737適用前 VT-737適用後↓(プリセット”Acoustic Guitar”適用)
まとめ
VT-737 Tube Channel Stripは、プロの現場で使用されるチャンネルストリップの再現に特化したプラグインです。
個別トラックの音作り・ミキシングはもちろん、「まずトラックに挿す」だけでも、真空管特有の音色が付加されサウンドにまとまりが出る効果が期待できます。
皆さんもぜひVT-737を取り入れて、チャンネルストリップを使ったワンランク上の音の扱いに挑戦してみてはいかがでしょうか。
こちらの記事はDTM・プラグインに精通したクランとリオンSTAFFが執筆した記事となります。