困難なMIXを簡単に!
DTMをする上で避けては通れないのがMIX。DTM初心者の方やMIXよりも作編曲に重きを置きたい方など、MIXに対して気が進まない方も少なくないのではないでしょうか。
iZotope Neutron 4があれば、難解なMIXの手助けをしてもらうことや、迷走した音作りにある種の”解答例”を示してもらうことなどが可能です。
この記事では特に初心者の方に向けて、Neutron 4の効果的な使い方を紹介していきます。
iZotope Neutron 4の購入先

iZotope Neutron 4はこんな方におすすめ!

- MIXに苦手意識がある方
- 音作りに悩んでついプラグインを挿しすぎてしまう方
- MIXに時間を掛けたくない方
Neutron 4の使用例
ここからはNeutron 4の使い方を簡単に解説していきます!
アシスタント機能による音作り
Neutron 4に搭載されたアシスタント機能により、そのトラックを解析してオススメのサウンドを提案してもらうことができます。
Neutron 4内で複数のモジュール(一つの役割をこなすエフェクト)を組み合わせることで、その音色に沿ったエフェクトが提示されます。

解析したいトラックにNeutron 4を立ち上げたら、Assistant Viewボタンをクリックことでアシスタントが起動します。
その状態でトラックを再生するだけでNeutron 4の解析が始まり、トラックに応じたサウンドを提案してくれます。
まずは試しにピアノにNeutron 4を掛けてみましょう。

↑Before After↓
いかがでしょうか。1ボタンクリック+再生しただけなのに、元と比べてサウンドに明瞭感が生まれ、よりピアノらしいサウンドが提案されました。
また、提案されたサウンドからNeutron 4内でさらに音色をカスタマイズしていくことも可能です。

- ①ターゲットライブラリ:解析結果が想定した音色の種類と異なる場合、手動で選択可能。
- ②トーンマッチ:トラックに掛かるEQの強さを調節。
- ③Punch:Compressorモジュールの設定を変更し、音色にパンチを出す度合いを調節。下方向に設定するとより圧縮された音に、上方向に設定すると音によりパンチを出すことが可能。
- ④Distort:Exciterモジュールの設定を変更し、音色に加える歪みの量や種類を調節。
- ⑤Width:サウンド全体のステレオ幅を調節。より広がりのある音やよりタイトな音にすることが可能。
- ⑥Detailed View:各モジュールを個別に調節する詳細設定画面に移動。
- ⑦Relearn:アシスタントの解析を再度実行。
後述するDetailed View画面でより詳細な設定も可能ですが、Assistant View画面のわかりやすいパラメータを直感的に操作することでもよりイメージに近いサウンドを作り出すことができます。
他の音色でもアシスタント機能を試してみましょう。
【ギター編】
↑Before After↓
【ドラム・パーカッション編】
↑Before After↓
より詳細な調整が可能なDetailed View画面
UI上部のDetailed ViewボタンをクリックすることでDetailed View画面を表示できます。
この画面ではモジュール(イコライザー、コンプレッサーなど単純な役割を果たすエフェクトたち)を複数組み合わせることで、自由度の高い音作りをNeutron 4内で完結することができます。
プラグインのインサート時にはEqualizerモジュールのみが立ち上げられていますが、アシスタントによって解析を行うことで、提案されたモジュールの組み合わせが自動的に挿入されます。

- Gate:ゲート。入力された音が設定音量を下回った時に、ノイズなどの不要な音を除去/減衰させることが可能。
- Equalizer:イコライザー。周波数ごとにカットやブーストが可能。
- Compressor:コンプレッサー。指定した範囲より大きい音の圧縮が可能。Detailed View画面で2つまで挿すことが可能。
- Transient Shaper:トランジェントシェイパー。音の立ち上がりの瞬間と音が伸びている間の音量を個別にコントロールし、音色のパンチやアタックの強さを調節することが可能。
- Exciter:エキサイター。音に歪みを加えることで音色を強調したり明瞭感を調節することが可能。
- Sculptor:スカルプター。32分割された周波数ごと個別にコンプレッションを行い、理想的な楽器の音色に近づけることが可能。
- Unmask:別トラックからサイドチェインを行うことで、互いに被っている帯域に余白を作ることが可能。
トラック同士のバランスを自動調整してくれるVisual Mixer機能
MIXを行う上で最も必要なことは音量バランスの調整です。
DTM作業の中でも特に感覚に頼らざるを得ない部分ではありますが、Neutron 4に搭載されているVisual Mixer機能では、各トラックを跨いで解析を行い、MIXバランスの提案をしてもらうことができます。

ここでは簡単な構成の楽曲を作成し、全トラックにNeutron 4のみをインサートして音作りを行いました。
まだMIXを行っていない状態のため聴きづらいバランスです。
ここからVisual Mixerを使ってMIXを行っていきます。

- ①各トラックに対してできるだけ一番最初(上)にNeutron 4(およびNectar 4などの対応iZotopeプラグイン)あるいは、Neutron 4インストール時に同時にインストールされるRelayプラグインをインサートする。
- ②各トラックのDAW側のフェーダーは全て0dBにしておく。
- ③マスタートラックもしくは全てのトラックをまとめたバストラックにVisual Mixerプラグインをインサートする。
準備が整ったらVisual Mixerプラグインを立ち上げ、Mix Assistantボタンをクリックします。

画面が遷移するとプロジェクト内に存在する対応プラグインが一覧表示されるので、Mix Assistantを行いたいものを選択してチェックを入れます。
Focus欄では、楽曲全体の中で特に目立たせたいトラックを必ず一つ以上選択して☆をクリックします。
☆は複数選択しても問題ありません。
対象が選択できたらBegin Listeningボタンをクリックします。

次の画面になったら、楽曲を最初から最後まで再生します。
再生が終わったらGo To Resultsボタンをクリックします。

次の画面では、各トラックをいくつかの種類に分類し、それぞれの音量バランスを大まかに調整することができます。
DAW側で再生しながら音量バランスを好みに調整できます。
Bypass Assistantボタンをクリックすると、Mix Assistantが調節したMIXバランスをバイパスして元のバランスを聴くことができます。
※今回はボーカルをFocusに設定したため、Voiceのフェーダーが無効化されています。
ある程度問題のないバランスになっていたら、Acceptボタンを押してMix Assistantは完了です。

- Focus:目立たせたいものとして☆をクリックしたトラック
- Voice:人間の声
- Bass:ベース
- Percussion:ドラム、パーカッションなどの打楽器
- Musical:それ以外の楽器
メイン画面に戻ると、各トラックのバランスが可視化されています。
Mix Assistantに提案されたバランスをそのまま利用してもいいですし、ここからさらにVisual Mixer上で各トラックの音量、パン振りを調節することもできます。

今回は、ピアノ・ギターの音をそれぞれ左右に振り、ギターが少し聴こえやすくなるように音量を上げました。

最終的な完成形がこちらです。
※全体的な音量のみ調整しています。
いかがでしょうか?たった数クリックのみで、難解なMixにひとつの”解答例”を示してもらうことができてしまいました!
今回はシンプルなトラック構成で試しましたが、トラックが増えてもやることは同じです。
どんな時でもVisual Assistantがあなたの仲間、アドバイザーになってくれるでしょう。
充実の公式チュートリアル・マニュアル
ここまで主にアシスタント機能に要点を置いて解説してきましたが、Neutron 4のポテンシャルはこれだけではありません。
Neutron 4のことがもっと気になる方、Neutron 4を最大限使い倒したいという方は、是非iZotope公式YouTubeチャンネルから提供されているチュートリアル動画を参考にすることをおすすめします。
多くの動画が日本語で提供されており、より実践的・ハイレベルなコンテンツが揃っています。
また、本記事では構成の都合上駆け足で説明してしまった内容もありますが、iZotope製品には公式日本語マニュアルが存在します。
各モジュールの詳細な使い方など、ぜひこちらも合わせてご参考ください。
まとめ
iZotope Neutron 4は、音楽制作にいち早くAIの力を取り入れたiZotopeによる、MIX向け総合プラグインです!
DTM初心者の方はもちろん、ついついMIXで行き詰まりがちな全ての方におすすめできる製品です。
知り合いや友人に自作曲を聴いてもらうような感覚で、Neutron 4からミキシングのアドバイスをもらえる時代になったようです。
皆さんもぜひNeutron 4を手に入れて、楽曲に新しい風を吹き込んでみてはいかがでしょうか。